数年前までは赤坂のデザイン会社でウェブディレクターとして働いていました。その頃から山が好きで、日本各地、世界各国の山を歩くという生活をしていたんです。2015年……新宿の神楽坂に住んでいた頃、八ヶ岳や北アルプスをよく歩くようになって。その道中、いつも高尾を通ることに気づいたんです。高尾って都心から1時間くらいのところだから、高尾に拠点を移せば1時間遠くの山に行けるし、高尾山にもすぐ登れる。「これはヤバい!」という結論に達して、高尾へ引っ越しました。この時点ではまだ自分がビールをつくるなんてことは思っていませんでしたけどね。
きっかけはあくまでも山が先。でも、以前から山とビールという組みあわせに愛情みたいなものがあったんですよね。山に登って降りてきたらビールが飲みたくなるじゃないですか。ところが高尾の街には酒を飲める店自体が少ない。高尾山は世界有数の登山客を集める山ですが、京王線の高尾山口駅から一気に都心に戻れるので、僕が住んでいるJR高尾駅周辺には人が滞留しないんです。だからファミレスくらいしかない。
「美味いビールが飲みたい!誰かつくってくれないかな……」って思っていましたが誰もつくらないので「自分でやるか」って。それで2016年頃から準備をはじめて、経営や醸造を勉強し、工場をつくり、2017年10月に酒造免許を取得して。そこから高尾ビールとしての活動が本格的にスタートしました。